発達障害グレーゾーンの子供がサッカーをやることで出てきた問題点

発達障害育児関連

発達障害の中でも、知的障害がないグレーゾーン、多動症の特性をもつ子供はスポーツに向いていて、才能を発揮するということはよくあります。発達障害児の特徴の1つでもある、集中力やこだわりなども、いい方に生きることもあります。

ただ、発達障害の中でも、発達性協調運動障害の特性をもつ子供にとって、スポーツは非常に難しい場合が多くあります。うちの息子はこの発達性協調運動障害グレーゾーンで、体の使い方のバランスが悪く、動きも遅いので、スポーツに向いているとは言えません。詳しいことはこちらの記事に書いてあります。【発達障害グレーゾーンを考える ~発達性協調運動障害

そんな息子ですが、自らの希望でサッカーのスポーツ少年団に入って、5年が過ぎました。発達障害に対して、本当に深く理解をしていただいていて、息子ものびのびとやらせてもらっているのですが、様々な問題が浮き出てきました。

チームに関する詳しいことや、チームになじむために、親である私たちがしてきたことについては、以前の記事をご参照ください。【発達障害グレーゾーンっ子とサッカー

その問題をご紹介していきたいと思います。

発達障害児と定型発達児の問題点を比較

発達障害児と定型発達児の共通の問題点

ここでは、息子の発達障害のパターンと、息子のチームメイトとを比較し、経験上、見てきたこと、感じてきたことを一例として述べます。全ての発達障害をもつ子供や、全ての定型発達の子供、全てのチームに当てはまるわけでなないので、予めご理解をお願い致します。

私が、子供って同じだなと感じた、発達障害児と定型発達児の共通点です。

①1人が遊び始めると、所かまわず興奮して遊び始める。注意されても、しばらくすると忘れてまた遊ぶ。

②ジャケットやすねあて、水筒などを忘れて帰る。

③サッカーノートの内容が理解不能なことが多い。(確率の問題です。すばらしく文才がある子供もいます)

④試合で続けて点を取られるとやる気をなくす。(特に低学年に多い)

⑤試合で負けてもあまり気にしていないのに、かけっこなどで負けると怒る。(低学年に多い)

⑥特に男子が、下ネタ系大好き。

⑦自主練習する子供としない子供の差が大きい。

書いてて笑えてきてしまいました・・・ もう5年もこの子供たちと付き合っていると、みんなかわいくて仕方ありません☺

ここでわかることは、発達障害児ではなくても、忘れ物はするし、空気が読めないこともあるし、字がきれいではない子供もいる、など共通点も多いことです。自分の子供だとできていないことが目に付いてしまいがちですが、年齢によるものも多いことを忘れず、子供と向き合っていけたらいいのではと思います。

発達障害児だから起こる問題点

続いて、うちの息子だけに見える問題点を挙げていきます。

空気が読めなさすぎ

これは、相手の表情から気持ちを汲み取ることが難しい、声の感じだけで相手の思っていることがわからない、という特性からくるものです。

例えば、穏やかな女性コーチだと、甘えたり、話しているのにちょっと遊んでしまったりということは、全員に見えますが、怖いと言われるコーチが話し始めると、みんなは遊ぶのをやめ、ちゃんと話を聞きます(聞いている顔をしているだけかもしれませんが)。ところが、息子にはこの感覚がありません。そのコーチが褒めていようが、怒っていようが、ボーっと聞いている態度は常に変わりません。

作戦などが一度で理解できない。

息子の発達障害には、相手の気持ちやこれから起こることを想像する、ということが難しいという特性があります。これが、サッカーでも顕著に出ていて、作戦を言葉で聞いても、フィールドでどのように生かすかが想像できないため、わからないのです。実際にやってみて、たまたま動けたときに、コーチに褒められ、こういうことか!と納得できると、次からできるようになる、の繰り返しです。そのため、その場で作戦が変わったりしたときは、ついていけず、一人だけ違う動きをしてしまう、などということがよく起こります。

理解できても、体が思うように動かない

練習方法や、作戦など、頭では理解できても、脳から体の細部に伝達がうまくいかないため、体が思うように動かない、ということが多々あります。これが、発達性協調運動障害の特性です。自分ではやっているつもり、できているつもりなのに、周りから違うと言われたり、本人と周囲の認識のギャップが出てきてしまうことがよくあります。

1試合の中で、調子が変動しすぎ

どんなスポーツでも、日常でも、調子がいいときもあれば、悪いときもあります。これは発達障害云々に関わらず、大人でも子供でも誰にでも起こることです。

午前中は体が重かったけれども、お昼過ぎから調子が上がってきた、などということも、よくあります。

ただ、息子の場合は、15分ハーフの中で、最初はボーっとしていたのに、突然エンジンがかかって、人が変わったようなプレーを見せたり、ものすごく調子がよかったのに、突然ボーっとし始めたり・・・ 分刻みといっても過言ではないほど、浮き沈みが激しい部分が見られます。

気分によるものなのか、体調によるものなのか、実際には私たちにはわかりません。本人に聞いても、本人もよくわかっていないことが多く、「ずっと同じだった」などと言います。

基本的に、全員試合で使うという方針のチームなので、コーチは使いづらいだろうな・・・と思います。

ボールが転がってきたときなどに取ってあげない

これはサッカーにおいてだけではないのかもしれませんが、自分の目の前に、他の子のボールが転がってきても、取ってあげる、というようなことができません。

悪気があるわけではなく、気付かないだけなのです。そこに転がってきたものを視界でとらえ、それをどうしたらいいのか、とっさに判断できません。「取ってあげたら?」というと、「あ、そうか」と言って取ってあげるので、取ること自体が嫌なわけではなさそうです。

子供同士だと、「それ取って~!!」と声もかかるので、その繰り返しで、いつか気付けるようになるといいなと思っています。

これだけ挙げても、やはりチームスポーツは難しいと思います。作戦もなく、みんなで1つのボールを追いかける、いわゆる【団子サッカー】をしているうちはよかったのですが、ポジションが決まってきて、システム的な動きをするようになると、浮いてきてしまうこともよくあります。

そこが、発達障害児やグレーゾーン、特に発達性協調運動障害をもつ子供にはチームスポーツは難しいと言われる一つの要因です。

最後に

上記の問題点は、サッカーを始めたころから起こっていた問題で、今は改善しているものもあれば、少しずつ変わってきているな、と思うものもあります。

今は、ポジションというものをようやく理解したようで、自分の仕事をしようとする姿が見られるようになってきました。

発達障害、グレーゾーンだからと言って、全くできないわけではありません。時間がかかるだけです。ただ、定型発達の子供たちよりもかなり多くの時間を要するため、その間に自己否定感を増してしまうことがないように、周りの理解とフォローが大切です。

スポーツ少年団など、チームに入ったら、どうしても迷惑をかけることが出てきてしまいます。そのため、できる限り練習や試合に顔を出し、チームメイトの親と関係を築き、コーチともできる限り話をするなど、親も努力をすることが重要になってきます。

子供が楽しい日々が送れるように、できることはして、親もいっしょに楽しめるといいですよね。