発達障害グレーゾーンの子どもに言葉を伝えることの難しさ

発達障害育児関連

この外出自粛期間は、発達障害グレーゾーンの息子のいろいろな面を改めて知るいい機会となりました。

その1つは、家族での会話が増えたことで、伝え方・伝わり方に関するトラブルが何回かあったことです。

トラブルとは言っても、実際には息子が怒っているだけなのですが・・・

幼少の頃から低学年頃までは、発達障害グレーゾーンの息子にどのように伝えればいいのか迷うこともあり、それに関する本を参考にしたりしていました。

おすすめの本に関しては、別の記事でご紹介します。

高学年になってくると、話も伝わるようになり、会話がスムーズにできるようになってきます。

そうなると、本を参考にしているだけでは対処しきれなくなり、試行錯誤していくことになります。

実際には試行錯誤しつつも、学校や塾、サッカーがあったりすると、家族でゆっくり会話する時間も限られるためトラブルもなく、なんとなく伝え方・伝わり方が頭から抜けてしまっているような状態になっていました。

話が伝わるようになったと思っても抽象的なことは理解できなかった

低学年までは、いっしょにいる時間も長かったので、ちょっとした行き違いなども頻繁に起こり、対処しやすかったのですが、高学年になるとそうもいかなくなります。

習い事が増える、習い事の時間が長くなる、学校にいる時間が長くなる、友達と過ごす時間が多くなるなど、家族だけで会話ができる時間がどんどん減ってきます。

また、通信教育を塾に切り替えてからは、何かわからないことがあると、私たちではなく、塾の先生に質問するようになっていました。

それでも、比較的母の私とはそれでもいっしょに過ごすことも多かったのですが、出勤時間が早く、残業もある夫とは平日数時間しか会えず、なかなかゆっくり話す時間が取れませんでした。

この予定外の長期休みは、発達障害グレーゾーンの息子と接するにあたって、今まで忘れていた問題が起こり、私たち親にとっても貴重な時間となりました。

この休みでよくあった息子との会話例

塾の先生に聞くことができなくなり、久しぶりに家で教えることになったときの例です。

Aパターン

息子「(時間をかけて、1つの問題を頑張って解いて)やっとできた!!見てみて!」

パパ「ん? 答え、そうなるかな?」

息子「うん、できた!!」

パパ「答え、そうなる? どうやって解いたか、教えて。」

息子「(イライラ度3くらい)こうやって解いたの!」

パパ「ん? 今のところ、もう一度やってみて」

息子「(イライラ度5くらい)はぁ? なんで? できたんだから、次の問題を解きたい」

パパ「その前に、ここもう一度やってみようよ。よく数字見て。」

息子「(ここで間違えてるのか?と気付き、イライラ度8くらい)じゃあ、答えはなんなの?」

パパ「パパがやったらこうなったけど・・・」

息子「(イライラMAX)その、秀才ぶったマジメ君みたいな言い方が嫌だ!!! もういい! もうやらない!」

ママ「秀才ぶったマジメ君?(笑)」

息子「もう!! 笑わないで!!」

Bパターン

息子「この問題、できた!!!」

ママ「その答え、違う。」

息子「え~・・・(イライラ度3くらいになるも、もう一度解く)できた!」

ママ「まだ違うよ。解き方がわからなかったら言って。」

息子「(イライラ度5くらい)うるさいな!わかるよ!!(と言いながら解く)できた(-“-)」

ママ「お~できたじゃん! 解き方教えて」

息子「(ちょっと嬉しそう)うるさいな~ こうやったんだよ」

Cパターン

息子「これ解けた。答え合ってるでしょ?」

パパ「答えは違うけど、どうやって解いた?」

息子「(イライラ度3くらい)こうやったの(-“-)」

パパ「ここまでは合ってる! 解き方もわかってる。ここまで自分でできたなんてすごいじゃん。でも、ここが違うんじゃない?」

息子「(ちょっとニコニコ)え?そうなの? あ~! そういうことか!! わかった!!」

AパターンBパターンの息子の反応を見て、夫が対応の仕方を変えたのがCパターンでした。

会話パターンから、発達障害グレーゾーンの子どもへの伝え方を考える

AパターンとBパターンを比較すると、通常は、Aパターンでの夫の最初の「そうなるかな?」という時点で、間違えているのかもしれないと想像できることが多いと思うのですが、想像することが難しい特性を持つ発達障害グレーゾーンの息子にとって、これでは間違っている、ということは伝わらなかったようです。

Bパターンは私なのですが、これは大人社会でやったら失礼ですよね。

時間をかけてがんばったことに対して、一言でダメ出ししてしまっています。この対応も時と場合によっては、発達障害グレーゾーンの子どもには危険です。

私自身、息子に対して何度か失敗しているのですが、正確な答えを求めているのではないとき、明らかに過程の方が大切なときにこの発言をしてしまうと、自尊心を傷付け、自分はダメ人間なんだと自己否定感を増してしまいます。

口調も夫の方が私の何倍も穏やかなのに、Aパターンでは、なぜ息子のイライラ度はMAXまで上がってしまったのでしょうか。

『秀才ぶったマジメ君』の意味がよくわからなかったので、冷静になった息子にじっくり話を聞いてみると、なるべく頭からダメ出しをしないように、という夫の配慮が逆効果で、間違っていると気付いたとき、間違っていると直接教えてくれない過程が【小馬鹿にされている】と感じてしまったようです。

「そうなるかな?」=「間違っているよ」という言葉の裏を読めない、発達障害グレーゾーンの特性ならでは、の問題でした。

想像することが難しい発達障害グレーゾーンの子どもには結果から伝えると効果的

言葉の裏を読む・想像することが苦手な発達障害グレーゾーンの特性を持つ息子には、Cパターンが成功例でした。

まず、【その答えは間違っている】という結果を明確に伝え、解答を出した過程を自分で説明するように促し、時間をかけて自分の力で解いたこと、できているところは褒めて気持ちを上げさせ、間違えている部分だけにスポットを当てる、という方法でした。

間違いを指摘されるのを嫌がるタイプなので、最初は少しイラっとしていましたが、できた部分を褒められたことで気持ちを切り替え、冷静にやり直してみることができました。

算数の問題など、答えが明確な場合はこのやり方が非常に有効だと思います。

ただ、答えが複数ある場合や、結果が人の気持ちに関することなど抽象的なことの場合は、対応には注意が必要です。

発達障害グレーゾーンの子どもに何か伝えるときは一呼吸おいてみる

一呼吸おいてみる、とは書きましたが、実際には難しいです。毎回手探りです。

うまく伝わったかな、と思うときもあれば、息子が怒り始めたり、いじけたり、伝え方が違ったかなと反省することも多々あります。

何かこちらが思った反応とは違った反応があったときは、冷静になるまで待って、冷静になったら、なぜそうなったのか、何が気になったのかをじっくり聞くことが大切です。

次に生かせますし、その場でこちらの意図を伝えることもできます。

会話が多ければ多いほど、こういった問題は増えてきます。

それでも、会話が多いということは、発達障害グレーゾーンの子どもにとって、非常に重要なことです。

問題が起こる度に、きちんと解決をしていけば、経験値になります。この経験値は、次に家の外で似たようなことが起こったときに、対処ができるということにつながってきます。

できるときは伝える前に一呼吸おいて考えてみる、伝えた後に気付くことがあったときは都度解決していく、くらいの姿勢でいいと思います。

これからも試行錯誤は続くと思いますが、伝える手段の失敗を恐れず、会話を増やしていきたいと思っています。