前回は、発達障害グレーゾーンの息子の個人的なトラブルに関してご紹介しました。詳しくは【普通学級に通う発達障害グレーゾーンの子どもの友達関係トラブル①】をご覧ください。
今回は2回目のトラブルです。前回の個人的なトラブルとは少し異なり、複数の子どもが関係するような少し大きめのトラブルでした。
内容も、対処の仕方によっては、将来犯罪にもつながりかねない重要なものだったと思っています。発達障害グレーゾーンに潜む危険性も改めて考えさせられるものでした。
友達にやってはいけない行為を強要されるトラブル
今回のトラブルは、上の見出し通り、息子がやってはいけない行為を強要されそうになるトラブルでした。
トラブルの主要な相手は、トラブル①での相手と同じ友達でした。
トラブル相手の友達の近所には、人が住んでいるのか住んでいないのか、よくわからない家があります。
そのトラブルが起こった日の放課後、10人ほどの友達と、その家の近くの公園で遊んでいたら、トラブルの相手の子が、息子に、その家のドアをたたいてこい、と言い始めたことが始まりでした。
息子が拒んでも、何度も何度も強く強要してきて、遂には息子がその場で泣き出し、そのときにいた友達は、いっしょになって「やってこい」という子、「そんなことさせるのはやめた方がいい」という子がいたそうです。止めようとしてくれた子がいたことは、息子にとって大きな救いだったと思います。
ただ、相手はかなり強い子なので、止めに入った子に対して「お前には関係ないから口を出すな」とまで言い、息子は結局そのことには従わず、その場を離れて泣きながら帰ってきました。
学校と連携した対処方法
息子の話を聞き、学校に連絡しようかどうしようか迷っていた時、学校から連絡がきました。その場にいた子の誰かが自分の親に言い、その子の親御さんから学校に連絡をしてくれたようです。
私も息子から聞いたことをそのまま先生には話しました。私は息子からしか話を聞いていないので、きっかけなど詳細はわからない、ということを話したところ、その場にいた子が誰だったのかが大体わかっているので、翌日以降全員に聞き取りをし、事実関係を把握するとのことでした。
今回のことでは、先生が日々、過程の詳細を連絡してくださったので、息子の様子を把握することができましたし、家での様子も先生に話せたので、先生にも把握していただくことができました。
【通級】がトラブルを抱えた息子にとって救いになった理由
学級の先生のことも息子は信頼しているのが、トラブルを通してよくわかりましたが、今回トラブルが起こったときに、息子が私に言ったのが、「通級の先生にも話しておいてほしい」ということでした。
息子と通級の先生の信頼関係の深さに驚きましたが、通級の連絡ノートに詳細を書いて、一通り知らせました。
そこで私が感じたのが、通級が息子にとって精神的な支えになってくれるほど重要な場だということでした。
学級の先生は、どちらかが一方的に悪いことによるトラブルが起こったとき、トラブルの元になった子を中心にトラブルを解決します。集団生活の中で、二度と同じことが起こらないようにするため、当然の処置です。
そういった中、いわゆる『やられた側』のケアを中心に問題をみてくれたのが、通級の先生方でした。休み時間に様子を見ていただいたり、通級の個別の時間内でも息子の気持ちを聞いていただいたり、トラブル解決法などもいっしょに考えていただいたりしたため、問題解決も早かったように思います。自分を理解してくれる安心できる場があるということは息子にとって、とても大きなことでした。
通級は、苦手なことを補ったり支援したりというだけではなく、こういった点からも、発達障害グレーゾーンの子どもには必要な場かもしれません。
今回のトラブルが発達障害グレーゾーンの子どもに危険だった理由
それぞれの発達障害の特性によっても異なりますが、家の息子は突発的に起こったことに対して、すぐに状況判断をしたり、対処したりするのが難しいという特性があります。
今回のトラブルは、そんな発達障害の特性をもつ子どもには非常に危険なトラブルだったと言えます。
なぜなら、これが犯罪に繋がる可能性を秘めているからです。今回も【不法侵入】にあたる行為の強要だったのですが、これがエスカレートすれば、「コンビニから物を盗ってこい」「家のお金を持ってこい」「友達から金品を奪ってこい」といったことに直結します。
とっさに状況判断ができない発達障害グレーゾーンの子どもは、そういった命令に従ってしまい、後から事の重要性に気付くということになってしまう可能性があり、今回の一件の第一報で私が感じた恐怖の1つはそこでした。
小学生であれば、まだまだ長い間近所で顔を合わせることが考えられるため、ボス的な存在の子どもに、【命令を聞かせられる】【自分の意のままに動かせる】と思われることが非常に危険なのです。
発達障害グレーゾーンの息子が状況判断をして踏みとどまれた理由
こういったトラブルを想定していたわけではありませんでしたが、息子にずっと話してきていたことが今回役に立ったと思います。
それは、人の家に許可なく立ち入ることは不法侵入であり、それは犯罪行為であるということです。
息子はそれを知っていたため、人の家に侵入してドアをたたいてこい、と言われたことに対して明確に拒否ができたのだと思います。
それ以外にも、お金を払わずお店から物を盗ってくること。人の家のものを勝手に持ってくること。人のカバンの中を勝手に見ること。そもそも人のものに許可なく触ること。
こういったことも犯罪なんだと普段から話すようにしています。
発達障害グレーゾーンの子どもは、言葉だけで話しても、それを想像して自分の生活に当てはめて考えるということが難しいという特徴があります。
そのために、いっしょにテレビのニュースを見て、実際にそういった犯罪のニュースがあったときに話したり、類似の事件のネットニュースを読みながら話し合ってみたりしています。
ネットニュースは、新聞よりも子どもが取りかかりやすく、更に活字も読めるのでおすすめです。
最後に
今回のトラブルでは、家で話していたことが役に立ったとは言っても、実際に通級の先生のフォローがなければ対処しきれていなかったかもしれません。
今、通級に通わせることを迷っている方は、通級にはこういった面もあるということをぜひ頭の片隅に置いておいてください。
ちなみに、そのトラブルの相手とは、息子は自ら数か月距離をおきました。休み時間も放課後も今まで遊んだことがないグループの子ども達と遊ぶようになりました。また違ったタイプの子ども達のグループで、息子の人間関係も広がったように思います。
数か月して、そのグループにトラブルの相手の子もたまに入ってくるようになり、今は以前ほど親密ではないようですが、再び遊んだりするようになっています。
そのことも学校、通級にも報告しつつ、見守っている状態です。
これから成長していくにつれ、いろいろなタイプの人と付き合うようになっていきます。とっさに状況判断ができない発達障害グレーゾーンにとって大切なのは経験値だと息子を見ていて思うので、今のうちからいろいろな経験を積んでほしいと思っています。