発達障害グレーゾーンの子供の【苦手なこと】を【好きなこと】に変える!

発達障害育児関連

突然ですが、最初にある画像、何かわかりますか?

これは発達障害グレーゾーンで、発達性協調運動障害の疑いが濃厚の、うちの息子の展覧会の作品です。現小学校4年生で、今年の作品です。

作ったものは、『シーサー』

他の友達の作品は、沖縄でよく見かける、あのかわいいシーサーにそっくりだったり、見てすぐにシーサーとわかるものがほとんどでした。

手先がうまく使えない、発達性協調運動障害であろう息子は、やはり細かい部分を作ったり、見たものをそのまま形にするのは難しかったようです。

ただ、この作品、続きがあるのです。この作品のタイトルは・・・

『ゾンビシーサー(まよけ)』

ゾンビだと思ってみると、確かにシーサーのゾンビに見えるような気がします。ゾンビの、あのフラフラした不気味な感じが、よく出ていると思います。

私が、ここで何を言いたいのかというと、息子の作品自慢ではなく、今できる精いっぱいのことを、どう生かすか、ということです。

苦手なことがあるのは、発達障害児に限ったことではない

発達障害児には、確かに健常児に比べて、苦手なこと、もっと言えばできないことが多くあります。ただ、人間は万能ではないので、誰にでも苦手なことはあります。みんなそれを抱えて生きています。

その点は、発達障害児も同じです。周りの大人が苦手なのかな、と思っても、子供に必要以上に苦手意識をもたせるようなことがあってはなりません。

かく言う私も、絵を描くことが非常に苦手でした。下手でした。いや、今でも下手です。以前、幼稚園教諭をやっていましたが、就職の面接の際、絵が苦手です、と正直に言いましたが、採用になりました。初めて受けもったクラスで、4月に『先生、絵を描いて~』と言われ、描いたのですが、それを数回繰り返すうちに、絵を描いて、と言われることが一切なくなりました・・・

でも、生きていく上で困ることはほとんどありません。

困らないのですが、苦手だと思って避けて生きていくよりも、苦手だけどやっていて楽しいと思える方がいいですよね。発達障害をもつ子供にも、できる限り楽しめる方向にもっていってあげることができればいいと思います。

発達障害をもつ子供の【苦手】を【好き】に変える方法

絵を描くことを好きにさせるには

さて、苦手なものは誰にでもある、というお話をしてきましたが、具体的にどのようにしていけばいいのでしょうか。

息子に対してやってきた体験から、おすすめの方法をご紹介します。

息子が発達障害をもっていて、手先がうまく使えないことはわかっていました。そこで、鉛筆で書いても、薄くしか書けなくておもしろくないので、マジックやクレヨンなど、色が濃くつくもので常にお絵描きできるようにしていました。

それだけではなく、更に効果的だったのが、シートを広げて、付属のペン先に水を付けると、シートいっぱいに落書きできるおもちゃでした。水なので床が汚れることもなく、乾くと消えるので、繰り返し使えるのも助かります。

そのシートいっぱいに線路をいっしょに描いて、電車を走らせてみたり、息子がただグルグル描いた線に、人形作りに使う目を置いて虫にしてみたりしました。ここでは、息子が何を描いても否定せず、その絵を生かすことだけを考えました。

息子が描いたものを教えてくれたら、全くわからなくても、必ずほめ、それに関連したおもちゃを持ってきて遊んだり、少し私の方で描き足したりもしてみました。

これを繰り返すうちに、息子は一人でも楽しんで描いて、自分で関連したものをもってきて遊びにつなげたりすることができるようになってきました。

もし、絵が苦手かなと思ったら、このシートをぜひ使ってみてください! 水で描けるというだけでも楽しくて、いい導入になります。おもちゃ屋さんでも手に入ります。

同じ歳の友達が、保育園で既に人の顔がしっかりと描けるような年齢になっても、「ママ!」と描いて持ってきてくれる絵は、正直、人かどうかもわからないような絵でした。でも、リビングに飾ったり、母の日にくれた、紙のカーネーションをいっしょに貼ったり、とにかく否定せず、楽しい雰囲気を作りました。

そういうことを繰り返すうちに、息子は絵を描くことが好きになりました。

工作や物作りが好きになるためには

手先がうまく使えない息子に、役に立ったと思うのが、LEGOです。

LEGOは、発達に合わせて使えるように、様々な大きさ・レベルがあります。LEGOは、最初から一人でやるのは、発達性協調運動障害をもつ子供にとっては非常に困難です。特に、はめてしまったあとに、間違えたことに気付いても、自分で外すのが大変です。それで癇癪を起こし、LEGOが楽しくないもの、となってしまうかもしれません。だから、最初は特に、大人がいっしょに楽しむことが重要です。

その他には、紙を切り抜いて、動物などを作っていく、工作キットです。

最初はいっしょに、動物をたくさん作って、先ほどご紹介した水で絵を描けるシートに柵を描いて、動物園を作ったり、車をたくさん作って、駐車場を描いたりしてみました。

一人でやるようになると、途中で破ってしまったり、うまくいかずに癇癪をおこして泣いたりすることも多々ありました。そうなったときは、バンドエイドやガムテープが効果的でした。動物がけがをしたから、治療してあげよう、ということや、破いたものが車だったら、銀色のガムテープを使って、修理しよう、というように、別の考え方にもっていきました。癇癪が収まらないこともあったので、修正するということを理解するまでに時間はかかりました。

修理するもの楽しいと思えるようになったあたりから、物を作ることに積極的になり、夫といっしょに工作にチャレンジする姿も見られるようになってきました。

苦手が好きになってから起こったこと

楽しいという刷り込みはできても、やはり息子は絵と工作が苦手です。自分が発達性協調運動障害グレーゾーンということは知りませんが、絵や工作が下手なことは自覚しています。

シーサーも、「みんなみたいには、作れないんだよ」と言っていました。

そして、展覧会当日行ってみたら、あのシーサーがいました。

息子曰く、「みんなみたいにできなかったけど、ゾンビに見えたから、ゾンビにしたらうまくいった!」だそうです。

上手にはできないけれど、感性豊かで、人が思いつかない奇抜なアイディアをもち、それをいい方に生かし、自分で納得できること。これは、重要なポイントです。

それには、成功体験を積み重ねることが必要です。本当に成功することばかりではなく、成功したと自分が思えること、終わってみて、楽しかったと思えることでいいのです。その体験をたくさんさせてあげてください。

最後に

私が心掛けていたことは、息子の作品に対して、「上手だね」とは言わないようにすることです。

自分は工作も絵も上手なんだと思うと、傷付くときが必ずくると思ったからです。

上手・下手という結果を褒めるよりも、アイディアの面白さ、視点のよさ、がんばった過程、前回よりもできるようになったことを中心に褒めるようにしました。

結果を褒めたいときは、例えば、私の絵を描いてくれたら、「かわいく描いてくれたね!」と言ったり、描いてくれて嬉しいことを伝えるようにしました。

苦手なことは誰にでもあります。

発達性協調運動障害をもつ子供は特に、苦手なことが多いのは事実です。その苦手なことは、苦手と自覚し、上手にはできないけれど、楽しむことができるとなると、チャレンジする気持ちももてるようになるかもしれません。

ぜひいっしょに楽しむところから始めてみてください。