発達障害グレーゾーンの子供が通級に通うために~2度目のWISK検査~

発達障害育児関連

発達障害グレーゾーンの子供が、小学校に進学するときに、支援学級の他に、普通学級+通級の選択肢もあります。

その通級に通うためには、WISK検査の結果が必要な場合が多くあります。我が家の息子が通う小学校があるところも、必要でした。1年生から通級に通いたかったのですが、息子はWISK検査のIQの数値が足りず、通級には行けませんでした。詳しくは、【発達障害グレーゾーンの子供の小学校進学問題】をご覧ください。

通級は諦め、普通学級+放課後等デイサービスの形で始めましたが、2年生終了と同時に放課後等デイサービスをやめることになり、支援が全く受けられないのは不安だったので、再び通級にチャレンジすることにしました。

支援学級ではなく、再び通級にチャレンジしようと思ったのは、2年生の3学期末の段階で、学習に遅れが見られなかったこと、普通学級にそれなりになじんでいたことが決め手でした。

結果として、通級に通えるようになったのですが、WISK検査とはそもそも何なのかを考えてみたいと思います。ちなみに、息子の数値をいくつかご紹介しますが、2回目の数値です。

WISK検査とは何か

WISK検査とは、ウェクスラー式知能検査のことで、その検査の中でのWISK-Ⅳが5歳0か月から16歳11か月の子供に用いられます。

IQの基本検査と5つの補助検査で構成され、それぞれの得点から、指標得点が算出されます。指標得点は、言語に関する能力の【言語理解】、目で物事を認識したり操作したりする能力の【知覚推理】、聴覚的な情報処理能力の【ワーキングメモリ】、視覚的な情報処理能力の【処理速度】に分かれ、子供の知的発達のレベルを把握することができる検査です。

全検査IQ(FSIQ)

FSIQとは、先述の4つの能力を合わせた得点で、全体的な能力を把握することができるものです。

数値が90~109が平均値です。

息子が通う通級で必要な数値は、80以上で、1年生のときに受けた検査では、息子の数値は74でした。70~79は、境界知能といわれるボーダーラインです。そこから小学校生活が始まったのですが、3年生の4月に受けた2度目の検査では、89でした。まだ平均以下ではあるものの、通級に通えるくらいには発達したことになります。

言語理解(VCI)

VCIとは、言葉での理解や推理する能力のことです。

息子の数値は95で、平均よりやや下程度で、目には見えない事象や抽象的な言葉の概念、社会的なルールや一般常識に関する理解は、年齢相応の理解があると判断されました。

理解はやや遅いものの、丁寧に何度も説明することで、ある程度のことは理解できます。この言語理解が平均に近い場合は、根気強く理解できるまで説明し、話をしていくことが重要になります。

また、この数値が低い子供に関しては、絵や図を使い、視覚から理解できるような説明をしていくことで理解の幅が広がっていきます。

知覚推理(PRI)

PRIとは、空間的な情報を推理し、処理する能力のことです。

息子の数値は85で、平均より低く、目で見た情報を正確に見比べたり、図形や記号の語りなどを正確に把握することは苦手な傾向がある、との診断でした。

学習に遅れはなかったものの、算数で初めて展開図が出てきたときは、理解するのにかなりの時間を要しました。サイコロの展開図を見て、どこにどの数字がくるかわからないのです。

サイコロを厚紙で作り、面を一つずつ開いていく、面を一つずつ閉じていくという作業を何度も繰り返していくうちに、理解できたようです。4年生の直方体・立方体はあまり苦労することなく理解できるようになっていました。

ワーキングメモリ(WMI)

WMIとは、情報を一時的に記憶にとどめ、その記憶を使って一定の作業を完成させる能力のことです。一時的な記憶をとどめておきながら、別のことをしても、それを忘れないということです。

息子の数値は91で、平均よりやや低めであるものの、一定時間に記憶できる量は、年齢相応ということでした。ただ、頭の中だけで情報を分類したりする知的操作をする能力は、この中でも苦手であるようです。

1日の中で、やらなくてはならないことが複数あるときは、頭の中だけでは整理ができないため、ホワイトボードを買ってきて、おおよその時間で区切って予定を書き出す、時間が決まっているときは、タイマーを使う、などといったことをしてきました。

今では、ホワイトボードを使わなくてもやることはやれるようになりましたが、まだまだ声掛けが必要な場面もたくさんあります。

今、息子に声をかけているのは、やらなくてはいけないことを後回しにすると忘れてしまうので、まずやらなくてはならないことから手をつけよう、ということです。まだまだ訓練の段階ですが、少しずつ改善してきているので、なんとか続けられればと思っています。

処理速度(PSI)

PSIとは、単純な視覚情報を読み込み、順番に単純作業をする能力のことです。

息子の数値は86で、平均より低く、時間内に記号を視写する能力は年齢相応であるものの、複数の記号の中から特定の記号を探しだしたりすることが苦手な傾向にあるようです。

目で情報を捉えながら、手先で作業したりする能力なので、発達性協調運動障害の特性をもつ発達障害・グレーゾーンの子供は、PSIの数値が低い傾向にあります。

この能力のトレーニングに役にたったのが、『ウォーリーをさがせ』という絵本です。最初はいっしょに探しながらやり、最後は1人で夢中でやっていました。楽しみながらできるので、おすすめです。

2度目のWISK検査を受けてみて

1度目にWISK検査に比べて、数値が伸びました。その点に関して、検査をしてくれた先生に言われたことは、息子は『知識・学力をあげていくことで、IQをあげていけるタイプ』だそうです。

もし、息子のようにWISK検査の結果で、通級に通えなかったお子さんがいる場合には、知識を得ることで、IQがあがっていく可能性もあるということを頭の片隅におき、いっしょに勉強して知識を深めるようにしていってみてください。思わぬ結果につながることもあるかもしれません。

そしてもう1つ、経験から言えることは、IQが低いことは、必ずしも学力に比例しないということです。人より時間もかかるし、やり方も工夫しなければならないことはありますが、IQが89でも、学力は伸ばせます。

WISK検査を受けるメリット

WISK検査を受けると、【検査報告書】をもらうことができ、子供の苦手とする部分を具体的に把握することができます。その報告書をもらうときに、検査を実施してくれた先生と話すこともできるので、更に家でできることなども教えてもらえたりします。

また、報告書には、有効と思われる支援例も明記してあるので、学校に提出することによって、普通学級でも支援を受けやすくなるというメリットもあります。

発達障害・グレーゾーンを指摘されたり、気になったりした場合は、WISK検査を受けてみてもいいのではないかと思います。

ただ、WISK検査は発達障害を断定する検査ではありません。検査の日の子供の体調や状況によって数値は変動します。WISK検査の数値に一喜一憂するのではなく、支援のための参考にし、苦手な部分を克服できるように、得意な部分は伸ばしてあげられるように、1つの指針としてみると、非常に役に立つ検査です。

最後に

WISK検査は絶対ではないとはいえ、支援を受けるために必要な検査です。経過も結果も前向きにとらえ、子供の成長につなげていけたら、非常に有効です。

最初はIQが低くても、日々知識を積み上げていくうちに、様子が変わったかな?と感じるときがくるかもしれません。私は感じました。そこが、2度目の検査の受け時だったのだと思います。

最初は通級に通えなくても、もしそういう直感が働いたら、もう一度検査を受けてみるのもいいと思います。また前回とは違った有効な支援方法がわかることもあるでしょう。WISK検査を受けるのであれば、メリットを最大限に活用したいですね。